病院で働く栄養士は具体的にどんな仕事をしているのかな?
病院給食の直営と委託の違いってどういうこと?
そんな疑問に病院栄養士として3年間働いた私が解説していきたいと思います!
栄養士の働く場所の一つとして病院があります。
厨房での調理業務が主な仕事として挙げられますが、リアルな1日のスケジュールと直営、委託の違いについてもお話したいと思います。
※今回は病院管理栄養士ではなく病院栄養士の仕事です。
栄養士と管理栄養士の違いについてはこちらの記事で解説しています↓↓↓
栄養士の1日のスケジュール
9:00 | 朝礼・食事箋受付・昼食準備開始・次の日の仕込みなど |
10:00 | 調理・盛り付け・入れ込み・納品チェック |
11:30 | 配膳トレーチェック |
12:00 | 各病棟へ食事配膳・片付け |
12:30 | 休憩 |
13:30 | 下膳された食器などの洗浄・発注・在庫管理 |
14:00 | 食事箋受付・夕食準備開始 |
16:00 | 調理・盛り付け・入れ込み |
17:30 | 配膳トレーチェック |
18:00 | 各病棟へ食事配膳・片付け |
ざっくりと1日の流れはこのようになっています。
厨房作業がほとんどで、それぞれの担当に分かれて仕事をみんなで進めていくということが多いと思います。
給食業務には栄養士・調理師だけでなく、パートの方々もいる場合が多いです。
調理作業は栄養士と調理師が、盛り付けはパートの方、など専門の技術や知識が必要な業務はその資格を持っている人が行います。
調理の中でも栄養士の知識が必要なものとして、アレルギー対応や乳児・幼児食、嚥下食、ミキサー食などの担当をする事が多いです。
また、調理業務以外にも食材の発注や納品、在庫管理、場合によっては献立作成など任されることもあります。
病院の食事は朝・昼・夕と1日3食あるため、勤務時間も早番・日勤・遅番と不規則な場合が多く、早番は朝4時~5時から始まるところもあります。
1日立ち仕事で、重いものを運んだり、時間に追われる作業をするのは体力が必要です。
病院栄養士の給与【経験談】
私が病院栄養士として働いていた頃の1年目の給料を公開し、一例としてお伝えできればと思います。
栄養士の平均給与額
栄養士の平均給与額は16万~20万と言われており、一般企業の給与と比べると少ない印象です。
栄養士・管理栄養士のような専門職の場合、技職手当がつきますが、高くても10,000円ほどで他の国家資格に比べても少ないのが現実です。
また、管理栄養士・栄養士の就職先の中でも病院は給料が高いと思われている方もいると思いますが、正直なところ、各病院・施設、また経験年数や+αの資格によって給料にかなり差があると感じます。
栄養士1年目の実際の給与・年収
私は200床の急性期病院に栄養士として就職しました。その時の給与・年収を公開します。
就職する際の雇用内容に記載されていた給与は、
固定給187,300円(初任給)、賞与(年2回、昨年度実績4.4ヶ月)でした。
実際に働き始めて得た給与は、残業の時間数によって差はありましたが、手取り月18万~23万程でした。賞与は年2回で、夏のボーナスで手取り32万、冬のボーナスで手取り40万程。
就職して1年目の年収はおおよそ290~300万でした。
これを少ないと思うか、普通と思うか人それぞれだとは思いますが、私は一人暮らしをしながらも、特に生活に困ることはありませんでした。
私は就職時、管理栄養士の免許を持っていましたが、現場経験を積みたいと思い、給料が低くてもいいや、と栄養士で就職しました。ですが、違う病院で病棟管理栄養士として働いていた友人よりも年収が高かった、ある友人はボーナス0なんて話もありました。(ブラック…
就活をする際には給与・賞与の部分はきちんと確認をしておくことをお勧めします。
管理栄養士の就活については、こちらも参考にしてみてください⇓
病院の給食体制には直営と委託がある
栄養士として病院で働くときに確認しておきたい事として、病院の給食体制には直営と委託給食会社が入っている場合とがある、ということです。
直営とは、給食業務をその病院が経営しているものを言い、委託の場合は、病院の中に外部の給食会社が入って行っていることを言います。
同じ給食業務であっても、栄養士として実際に働く中で、直営と委託とでは、それぞれメリット・デメリットがあります。これから病院での就職を考えている方はそれを理解したうえで選ぶと良いでしょう。
直営
直営は、病棟管理側と給食管理側が直でつながっているため、患者ひとりひとりに応じた食事を考えたり、それを食事に反映させることができるというメリットがあります。
病棟側からの指示に対して給食側が柔軟に対応できるというメリットではありますが、個別対応や患者の要望に逐一応えることは、厨房で働く栄養士にとって、時に負担になります。
個別対応の食事が増えるとそれだけの労力や神経を使うし、忙しい厨房で対応していくには限度はあります。病棟側の管理栄養士との話し合いも大切です。
業務についても、給食側の人が足りなかったり、食事提供時間に間に合わないなど、状況によって病棟側の管理栄養士が手伝わなくてはならない事もある為、病棟側からすると業務の分離が難しい事も多くあります。
ですが、将来管理栄養士として病棟側で働きたいと考えている場合、厨房業務の仕事ぶりや状況によって病棟側に引き抜かれる、なんて話もよくあります。
病棟側と直でつながっているという点で栄養士から管理栄養士へとステップアップしやすい環境であるかもしれません。( ※管理栄養士になるには実務経験年数や国家試験の合格が必須です)
委託
委託は、病院の中に給食会社が入った形態で、病院側と雇用形態や契約内容が全く別のものになります。
また、厨房での作業は給食会社の経営で行うため、病院側との契約内容によって病棟側の意見が反映できないということもしばしあります。
病棟側からしたらデメリットが多いように感じますが、業務も病棟側と給食側とがきっちりと分けられているので、給食は給食、病棟は病棟といったようにそれぞれの仕事に集中できるというメリットがあります。
栄養士として、調理の技術や給食管理のノウハウを身につけたいという方は委託給食会社が良いかもしれません。
委託給食会社はどこも人手不足なところが多く、休みが少ないという話もよく耳にします。ですがその分、給料が高いという話もありますし、たくさん働いてお金が欲しいという方は良いかもしれません。
委託給食会社の場合、転勤もあるため、確認しておくよいでしょう。委託給食会社は病院だけでなく、社員食堂、福祉施設、保育園など様々な施設で業務を担っている場合が多く、いろいろな経験が積める可能性もあります。
まとめ
病院栄養士の仕事は、それぞれの施設によって忙しさや、細かい仕事内容は変わってくると思いますが、栄養士が病院で働く意義として、病院の食事は患者さんにとって唯一の楽しみであったり、栄養を摂ることだけでなく、治療の一環となる大切な役割があります。
栄養士として病院で働く中で、自分の作った食事をおいしいと言ってもらえたり、食形態を工夫することで食べれるようになる患者さんがいたり、血糖のコントロールができるようになったり、と病院で働くからこそ得られるやりがいが沢山あります。
病院は栄養士という資格をフルに活用して働くことのできる場所だと私は思います。
いつかは管理栄養士にステップアップしたいという方は特に病院で働くことをオススメします。